隣の年下くんがダンジョンの同居人につき、リアルでも溺愛始まりました

 五百城の顔の隣にキーホルダーを並べてみる。

「え、どこがですか」と五百城が目を細めて黒猫を睨みつけた。

「今の顔、そっくりだよ」と笑うと、「こんな悪巧み顔してませんよ」とキーホルダーを握りしめる。「でもありがとうございます」と言ってポケットへと押し込んだ。そしてポケットの中から小さな箱を取り出した。

「そうだ……、手を出してください」と言われおずおずと手のひらを五百城へと向ける。

 すると気づくと指先から血が滲んでいた。いつの間にひっかけたのだろうか。 「怪我してたみたいだったので」と絆創膏を貼り付けた。そして五百城は指先を両手で包んで「早く良くなりますように」と呟いた。

「……あ、ありがと」こんな小さな怪我によく気付いたなと感心しつつ、五百城の手の温かさのおかげか、心がホッと一息つく感じがした。

 五百城が「そういえば、抱かれておけばよかった相手って、あの人じゃなかったんですね」と、突然爆弾を投下した。

 突然何を言い出すのだ! 青年よ!!

「烈火さんが遭難した日、言ってたんです。
こんなことなら、抱かれておけばよかった。
恋をしておけばよかったって」と静かに語る。

 遭難しかけたあの夜のことを思い出した。あの時、死を目前にして、峯岸の部屋で雰囲気に流されていたら、死ぬことはなかったかもと後悔の念が襲った。心の中だけで呟いていたと思ったのに、口に出していたとは……。