隣の年下くんがダンジョンの同居人につき、リアルでも溺愛始まりました

 「でも……少しだけわかる気もします。自分が苦手な人でも、その人のことを好きな人が僕の好きな人だと無碍にできないっていう感情。わからなくはないので」

 五百城がポツリとこぼした。吐く息が白く濁る。漂う冷気にやられたのか鼻先がむず痒くなりくしゃみが飛び出た。
 流石にこの寒空にミニのワンピース一枚はきつい。五百城が着ていたコートを私へとかけてくれた。

 そうだと、紙袋を五百城の手に握らせる。

「遅くなったけど、クリスマスプレゼント!」

 旅館の”忘れ物”である紙袋を、峯岸から受け取った。忘れ物の紙袋を差し出された時に、「まあ……、お互いにうまくやりましょう」と締め括ったあの感じは、五百城との関係を誤解しているかも知れない。
 惣菜の入ったジップロックは峯岸が丁重に廃棄してくださった。なので今、紙袋に入っているのは小さな包み紙だけだ。
 
 五百城の手のひらにころんと出てきたのは黒猫のキーホルダーだった。

 先日、会社帰りに立ち寄ったハンドメイドのアクセサリーを扱う雑貨店で売られていたものだ。魔法使いのようなフード付きの黒いマントを着た猫はどことなく五百城に似て無表情で、「人間ってみんなダサいよね」って、斜に構えた雰囲気を出している。

「なんかムギくんに似てると思ったんだ。可愛くない?」