「私の父ってね。
仕事人間で家庭に顧みない性格で。家に帰ってきても、本当に無口で。
父と会話をした記憶なんて、もう小学校ぐらいに遡るぐらいなくて。
そんな父が、珍しく他人のことを話題にしたんだ。
それが……峯岸さん。
父が峯岸さんのことめちゃくちゃ大好きなんだよね。だからか、峯岸さんがいるときは、よく喋るんだ。
だから峯岸さんとサヨナラしたら、そういうの無くなるのは寂しいなって思っちゃって」
「父親のために付き合ってるんですか?」
「……まあ自分のためでもあるよね。年頃の娘がいつまでも彼氏も作らずフラフラしてるって思われたくないし、色々あるのよ」
「大人ってなんか面倒ですね」
確かにそうかも。
五百城ぐらいの年齢の時は、好きと嫌いの2種類しかなくて、他の理由なんて後回しだった。
自分の恋愛のはずなのに、なんで親の機嫌を優先しているんだろう。
父の笑顔のために、私は何を犠牲にしているんだろう。
