「峯岸那央」
そういえば勇者の下の名前は「那央」だった。
ドアノブへと手をかける五百城の手を止めた。
「ここで待ってて……何かあった時はサポートを、よろしく」
そう告げると、五百城はこっくりと頷く。
そしてパーカーのフードを被り、まるで忍者のように気配を消した。
スマホの動画ボタンを押す。録画中を示す文字が刻まれていることを確認してから、よしっと、気合を入れて玄関のチャイムを押す。
すると、峯岸のあくび混じりな寝ぼけたような声が戻った。
「え、燕さん?」
動揺している様子が声色から伝わる。玄関のロックが外れた音がした。と同時にドアを引っ張ると、紺色のスエットを着た峯岸が現れた。
「お邪魔します」動画収録ボタンをタップし、ちゃんと数字を刻んでいるか確認した後部屋の奥へとハイヒールのまま上がり込む。
「え、ちょ、待って、ちょえ、」
峯岸が状況を理解して、私の肩を掴もうとした時にはもうベッドルーム扉を開けたところだった。
わりと広めの1LDKのベッドルームは10畳程度あるのだろうか。ハイスペ男子らしいわかりやすいほどに、いいセンスをしたお部屋である。そして大きめなベッドには……。
