隣の年下くんがダンジョンの同居人につき、リアルでも溺愛始まりました

 あの日、最後に見た峯岸は酔っていた。
 酒に酔い、シチュエーションに酔い、そして自分自身に酔っていた。そのせいで理性を奪われ、目も身体も充血させて、獣じみた欲望を隠すことなく私へと向けた。

 毛色は違えど、峯岸の瞳の奥にチラつく執念のようなものは、今もあの日目にしたものと、同じである。

「話をさせてください」

と、峯岸は懇願に近い口調で告げた。

 私は立ち止まり腕組みをする。どうぞ、と言うと、「え、ここで?」と峯岸は戸惑いを見せた。菜摘も遥も私に遠慮して離れようとしたが、逃すまいと2人の手首を掴んでそれを拒んだ。
 トリッキーな男との話し合いには、第三者の視線が何より大事である。
 峯岸は観念したのか口を開く。

「その……。
 旅行先では、身勝手な真似をしてしまって……申し訳ない。
 燕さんを傷つけたのはわかってる。
 でも……やっぱり君を失いたくない」

 峯岸の言葉に菜摘は感極まったように息を呑んだ。多分峯岸のセリフが王子様的だったのでキュンとしたかもしれない。
 でも残念ながら、峯岸が失いたくないのは、私ではない。

「父はあなたに何を約束したんですか」