隣の年下くんがダンジョンの同居人につき、リアルでも溺愛始まりました

 真冬にしかも雪が吹雪いている中、浴衣一枚で飛び出したなんて、大馬鹿ものである。
 しかも所持品は手に握りしめているスマホのみ。

 凍える手で、冷たい板となったスマホをスライドする。
 この場合、事故なの? 事件なの?(119 110)

 自分の状況がどっちなのかわからず迷っていると、LIMEのメロディが鳴った。五百城からだ。

 五百城には、峯岸の魂胆がわかった時点で、今日のクリスマス会は不参加だと伝えてある。パーティーには源さんたちがいる。きっと楽しく過ごしているはずだ。

「もしー。どうしたの?」
 
 楽しい時間に水を注さぬように明るめに平静を装う。

「今どこですか?」

 五百城は開口一番に私の居場所を尋ねた。
 電波が悪いのか、通話音がざらついている。 

「どこって? え、なんで?」

 男と一緒に温泉に来てます。その後、道に迷って今どこにいるのかさっぱりわかりません。そんな醜態を晒すのは避けたい。

「どこですか」

 五百城はなぜか怒気を混ぜた口調で再度繰り返した。


「どこって……ちょっと散歩中?」

 足元を見ると、もう深雪が積もってしまい足跡が消えている。これではどっちから来たのか、わからなくなってしまう。
 前後左右がわからなくなれば、元来た道へと戻ることができない。
 周囲を眺めたが、吹雪が視界を邪魔している。
 背後から、サク、サク、サク……と、雪を踏む音が耳に届いた。