隣の年下くんがダンジョンの同居人につき、リアルでも溺愛始まりました

 しかし今日になって、父から「峯岸くんが娘と宿泊する旅館。接待で私も使うことになってね。よければ夜にでも娘を交えて食事をしよう」と誘われ、父の手間、私を旅館に連れてこなければならなくなったのだそうだ。

「燕さんを巻き込みたくはなかった。けれど、どうしても君のお父さんとの関係を拗らせたくないんだ。だから今回だけでいい。助けて貰えないだろうか」


 出世のためなら、
 自分が勝つためなら、
 周りを利用しても構わない。
 そもそも勇者はスライム如きに頭を下げたりしない。
 勇者の護るべきパーティメンバーに、スライムは含まれてない。代替え可能な弱々スライムは勇者に捨てられたら、この先もボッチ確定なのだ。

「顔を上げてください。私は峯岸さんの味方です」

 スッと持ち上がった勇者の顔には、きっとスライムならそう言うだろうと算段した戦略的な笑みが浮かんでいた。

 
「2人とも部屋着の方が雰囲気出ると思うので、浴衣にしましょう」と峯岸が私との関係性に真実味を持たせる方向へとアップデートする。

 二人で仲良く温泉に浸かっていたかのように見えるように、髪をアップにまとめ、頬には湯上がりのようなコーラルカラーのチーク。ノーメイクに見えるようにヌーディーカラーでまとめたメイクを施して、峯岸と共に父の部屋へと向かう。

 「最後の仕上げ」として、峯岸に差し出された手を取ると、指を絡めて恋人繋ぎをする。互いの手の感触を感じると、ぐっと距離が近くなった気がした。