「こちらの処理が終わり次第、会いに行きますので、
近くでお待ちいただくことは可能でしょうか」
夜は予定が控えているのだから、峯岸の予定が終わり次第、顔だけ合わせてさっさと帰ろう。それがいい。
峯岸の提案に乗り、峯岸が手配してくれたタクシーに乗り込んだ。
すると行き先も告げていないのに車は首都高へ。車はグングンとスピードに乗り、東京のビル群は消え去った。
……車は一体どこに向かっているの?
もしかして、選択間違えた?
***
景色が変わっていく中、峯岸にどこに向かっているのか尋ねたが、一向に返事がない。
タクシーの運転手は目的地は群馬県になってますねえ…と、指定された場所が、群馬にある温泉街の旅館をさしていることを教えてくれた。そこは東京から車でもゆうに3時間以上離れた群馬県の奥地である。
峯岸はその場所でトラブル処理に追われていて、だから旅館で待てと本気で言っているのなら、それはいつもの峯岸らしからぬ行動であるし、そんなわがままを聞いてくれるのは、恋人同士であることが前提条件になるだろう。
なぜに好きでもない男のために山奥まで行かねばならないのか。
え、降りたい。と思ってもここは高速道路上、途中下車は許されない。
向かうは山奥の旅館。
見渡す限り雪化粧の山……。
窓の外で振り続ける雪を眺め、とんでもないところに来てしまった感に陥る。
