ああ、怒っている。
そんな彼女に心臓が高鳴るのを誰か止めてくれないかな。
理性が奪われる前にと、捲し立てるように口を動かした。
「あなたと揉めている五百城くんを見て、恋人との修羅場だと思ったの、それで咄嗟に助ける方法が、あんな方法で。
彼女だって嘘ついたのは、あの場を逃げ出すための口実。
私は、五百城くんの彼女なんかじゃない。
だから五百城くんのことを諦めないでいいと思う。
好きって原動力で努力したこと、簡単に手放さないで」
「じゃあ私、ムギくんのこと、あきらめないで……いいってこと?
好きなままでも……いいの?」
と、喉の奥から絞り出すような声を出した。
「うん」と、力強く頷いて、鵲の手をそっと握った。
「おねーさん……。私……」
ちょっと恐怖なメールを送るぐらい、
ちょっとDV彼女気味なことぐらい、
彼の全てを把握したり周りの女子を排除するストー○ー気質があるぐらい、
そして、夕飯がデザートになる日があるぐらい、
五百城なら許容してくれるはず。
二人で幸せな家庭を築き、
いつかあなたたち二人の可愛い子供を愛でさせてください。
五百城と鵲さんのベビーの誕生を妄想していたところで、背後から肩を叩かれた。
「だ、、、、、ぶ、で、す……」
五百城は、マラソンでもしたのか、白い肌の上に汗の滴が流れていて、肩で息をしている。そのせいで言いたいことが途切れ途切れである。
てか今にも死にそうですけど、大丈夫か?
テーブルの水の入ったコップをつかみぐいっと一気飲みすると、ようやく落ち着いたのか、ほおっと息を吐いた。
「ぜ、ゼミ仲間から聞いて……、
烈火さんと鵲さんが喫茶店でバトルしてるって……」
「バトル?」
一瞬、鵲さんが黒歴史の件で闇落ちしそうになったぐらいで、他は平和的な会話を繰り広げていたのだが。
……まあ王子様も現着したわけなので、さっさと問題を解決してしまおう。
「ちょうどよかった。はい」
