何度も祈ってから、スタートボタンをクリックする。
 すると、一回目でマントが現れた。

 「ひゃああ! 早速ムギちゃんに貢がねば!」

 鼻歌混じりにムギちゃんへとプレゼントを送信する。
 氷化系属性のムギちゃんにはセイレーンのような水属性の加護と相性がいい。これで戦闘力がかなりアップするはずだ。

 【セイレーンのマントを、同居人ムギに贈りました】

 【同居人ムギから、受け取りのメッセージが届きました】

 返事を見ると、

 ムギ:「僕のでしたか……。ありがとうございます。使わせていただきます」

 「いーのいーの。お姉さんが養ってあげるんだから」と、画面に向かってほくそ笑む。同居人を育ててる感が、たまらない。可愛い娘が育っていくのって、こんなのも楽しいのか。
 娘をゲットするために、結婚というのもありかもしれない。

 「いやいやいや、でも峯岸さんは駄目だ」

 第一印象からして、あの人はいい人だった。
 お見合いの席でも終始私に話題を振り、仲人の二人を和ませることも忘れない。
 容姿だって女性から好まれる清潔感のある男性だ。
 そんな素晴らしい男性に、廃課金ゲームにハマって、ゲームの中にしか友達がいない女には勿体無い。

 ぼんやりとしていると、痺れを切らしたかのように、

 【同居人から、ハグモーションの申請があります】

 と、ポップが立ち上がった。

 烈火:「では改めて、ハグー!」