私のクラスには一匹狼で気の強いで有名な男子潮原樹がいる。学校では所謂普通の男の子。でも私はこの間見てしまった、樹くんがスカート形のボトムスを履いているところを。すごく中性的で綺麗な服装だったし、元から綺麗な顔もあってから儚い雰囲気だった。全然悪いことじゃないんだから私も否定する気は全くないし、みんなに広めるつもりもない。私だって服の好みは独特だし、好きなことを表に出せる樹くんは本当にすごいと思う。心底尊敬する。でもある日他の男子にそれが見られて、一瞬で広まった。一瞬で「みんなと違う」って否定されてみんなの標的になった。それと同時に私は思った「私も好きなことを表に出したらこうなるんだ、やっぱり当たり障りのない生活をするべきなんだ」と。でも樹くんは違った、樹くんはこう言ったんだ。
「好きなこと好きって言って何が悪いんだよ、みんなと違って何が悪いんだよ、だいたい『世間一般』ってなんだよ、レールから外れるのがそんなに悪いかよ、お前らの方がずっとだせぇよ」
その言葉に私はどこか救われた。こうやってみんなの前で自分の意見を言えることも好きって認められることもすごく大人に感じられたし、本当にすごいと思った。でも私はそれと同時に「なんで『世間一般』になろうとしないんだろう、やっぱり頭のおかしい奴。」そんな思いが頭をよぎった。こんなことを思ってしまう自分も、意見を言えないどころか好きなことを好きって自信を持って言えない、周りに合わせてばかりの自分の事が「だいっきらい」
正直言って今の友達が全員大好き、という訳では無い。「合わないな」って感じる子ももちろんいるし、相手だってそう思っているかもしれないんだから上手く相手と仲良くコミュニケーションをとることが礼儀だと思うから、ちゃんと仲良くしている。ある日、ピンクまみれの私のカバンの中から小さい頃からずっと大好きだった戦隊モノのアニメのグッズを間違って落としてしまった。その時1人の友達が
「え?そんなの好きなの?」
と笑いながら言った。
「そんなわけないじゃん、弟が入れちゃったみたい」
私も笑いながら答えた。みんなと同じじゃなきゃいけないから、みんなと同じレールを歩まないと「生きていけないから」。やっぱりそんな臆病者の自分が「だいっきらい」
そんな私とは対照的に樹くんはひるまなかった。「自分の好き」を崩さなかった。外に出る時の服装はこの間のようにおしゃれで中性的な服装だった。クラスで腫れ物扱いされている樹くんに私は勇気をだして
「好きなことを好きって言えるのってすごいよね、尊敬してるよ」
と話しかけた。悪気なんか全くなかった。ただ興味本位で話しかけただけだった。でも悪く捉えられてしまったのか
「なに?文句でもあんの?俺さお前見てると馬鹿みたいにイライラすんだよ」
と返されてしまった。話しかけた言葉だけが原因じゃないのかもしれない。私の今までの態度に問題があったのかもしれない。私が今までに嫌われるようなことをしてしまったのかもしれない。私が世間のレールから外れてしまったのかもしれない。あぁ「だいっきらい」
私は臆病者の自分から変わりたかった。自分の好きなことを好きって言える自分になりたかった。だから打ち明けてみたんだ、親友である夏帆に私の好きなことを。
「私ね、本当はスラックスを履いてみたいの」
そしたら夏帆はこう答えてくれた。
「そっか、いいと思う!素敵だよ」
安心した気持ちとは裏腹に夏帆の顔は笑っていたけど、笑っていたけどどこか困ったような、そんな顔だった。優しい夏帆だからきっと気を使ってくれたのだろう。「こんなことを言って困らせてしまっただろうか」「やっぱり自分の好きはおかしいんだ、隠しておいた方がいいことなんだ」そんな思いが頭を駆け巡った。
もう高校2年生なだけあってとうとう私にも来てしまった「進路調査」私は特に行きたい大学もないけど就職はうちの学校的には異例すぎる。だから提出なんてする気が起きなかった。当然教師からは目をつけられ、全員口を揃えて「自分の好きなことを書くだけだろ」とか何とか言ってくる。正直言ってそれが私にとって1番の難関なのだ。好きなことを好きって言うのがどれだけ私にとって難しいことか、そもそも私の「好き」を知らない奴らからしたら想像もつかないだろう。
ある日進路指導から呼び出しを食らった。案の定進路希望のことで、ただでさえだるかったけど問題はそこじゃない。進路を考える間あの潮原樹と一緒に居なきゃいけないのだ。あんなことがあった相手と2人きりなんて絶望的な状況だし、「なんで好きなことがはっきりしているのに出していないんだろう」そんな疑問が浮かんできて、考えれば考えるほど気になってくる。もう居てもたってもいられなくなってとうとう聞いてしまった。
「樹くんも紙だしてないの?」
「出したよ。でももっと現実的なこと書けの繰り返し」
予想外の答えだった。まだ高二のやんわりとした進路希望でも止められるほどの夢っていうのが気になって、仕方なくて数分後また話しかけた。
「樹くんの夢って何?」
「起業だよ、アパレルブランドの。世の中、学生起業だって多いのにいつまでも頭が硬ぇんだよ、教師は。」
その答えを聞いて思った「あぁ、やっぱりしっかりしているなぁ。自分の夢をちゃんと持ってて、好きなことを仕事にしようとしてて私とは違うんだ」と。
「やっぱり私とは違うね、ほんとに凄いよ」
そんなことを言うと樹くんは
「お前のそういうとこがほんとにイラつくんだよ、なんで自分の好きなことをそんなに隠そうとするんだよ。お前がスラックス履きたいことも、戦隊ヒーローモノ好きなこともお前の好きはバレバレで、何もかも分かってんだよ。それなのに世間一般から外れないように好きな事隠して勝手に自分嫌いになってほんとにムカつく。」
そんな言い草に私もイラついてしまった。
「樹くんにはわかんないよ、私の気持ちなんか!」
「あぁ、わかんねぇよ。自分の好き隠して勝手に傷ついて周り気にして、いつまでも大人みたいに世間一般のレールから外れないような生き方して、そんなんで何が楽しいんだよ。そんな生き方して人生の最期悔いなく迎えられんのかよ。ウジウジ言う前に自分が変われよ」
そう言って出ていってしまった樹くん。何がいけなかったのだろう。世間一般のレールの上を歩んで何がいけないんだろうか。樹くんみたいに自分の好きをみんなに伝えられてそれを形にしようなんて本当にすごいと思う。でも私にはできないんだ。臆病者の私にはそんなことできるわけが無いんだ。あぁなんでこんな考え方になってしまうんだろう。こんな自分が「だいっきらい」
「好きなこと好きって言って何が悪いんだよ、みんなと違って何が悪いんだよ、だいたい『世間一般』ってなんだよ、レールから外れるのがそんなに悪いかよ、お前らの方がずっとだせぇよ」
その言葉に私はどこか救われた。こうやってみんなの前で自分の意見を言えることも好きって認められることもすごく大人に感じられたし、本当にすごいと思った。でも私はそれと同時に「なんで『世間一般』になろうとしないんだろう、やっぱり頭のおかしい奴。」そんな思いが頭をよぎった。こんなことを思ってしまう自分も、意見を言えないどころか好きなことを好きって自信を持って言えない、周りに合わせてばかりの自分の事が「だいっきらい」
正直言って今の友達が全員大好き、という訳では無い。「合わないな」って感じる子ももちろんいるし、相手だってそう思っているかもしれないんだから上手く相手と仲良くコミュニケーションをとることが礼儀だと思うから、ちゃんと仲良くしている。ある日、ピンクまみれの私のカバンの中から小さい頃からずっと大好きだった戦隊モノのアニメのグッズを間違って落としてしまった。その時1人の友達が
「え?そんなの好きなの?」
と笑いながら言った。
「そんなわけないじゃん、弟が入れちゃったみたい」
私も笑いながら答えた。みんなと同じじゃなきゃいけないから、みんなと同じレールを歩まないと「生きていけないから」。やっぱりそんな臆病者の自分が「だいっきらい」
そんな私とは対照的に樹くんはひるまなかった。「自分の好き」を崩さなかった。外に出る時の服装はこの間のようにおしゃれで中性的な服装だった。クラスで腫れ物扱いされている樹くんに私は勇気をだして
「好きなことを好きって言えるのってすごいよね、尊敬してるよ」
と話しかけた。悪気なんか全くなかった。ただ興味本位で話しかけただけだった。でも悪く捉えられてしまったのか
「なに?文句でもあんの?俺さお前見てると馬鹿みたいにイライラすんだよ」
と返されてしまった。話しかけた言葉だけが原因じゃないのかもしれない。私の今までの態度に問題があったのかもしれない。私が今までに嫌われるようなことをしてしまったのかもしれない。私が世間のレールから外れてしまったのかもしれない。あぁ「だいっきらい」
私は臆病者の自分から変わりたかった。自分の好きなことを好きって言える自分になりたかった。だから打ち明けてみたんだ、親友である夏帆に私の好きなことを。
「私ね、本当はスラックスを履いてみたいの」
そしたら夏帆はこう答えてくれた。
「そっか、いいと思う!素敵だよ」
安心した気持ちとは裏腹に夏帆の顔は笑っていたけど、笑っていたけどどこか困ったような、そんな顔だった。優しい夏帆だからきっと気を使ってくれたのだろう。「こんなことを言って困らせてしまっただろうか」「やっぱり自分の好きはおかしいんだ、隠しておいた方がいいことなんだ」そんな思いが頭を駆け巡った。
もう高校2年生なだけあってとうとう私にも来てしまった「進路調査」私は特に行きたい大学もないけど就職はうちの学校的には異例すぎる。だから提出なんてする気が起きなかった。当然教師からは目をつけられ、全員口を揃えて「自分の好きなことを書くだけだろ」とか何とか言ってくる。正直言ってそれが私にとって1番の難関なのだ。好きなことを好きって言うのがどれだけ私にとって難しいことか、そもそも私の「好き」を知らない奴らからしたら想像もつかないだろう。
ある日進路指導から呼び出しを食らった。案の定進路希望のことで、ただでさえだるかったけど問題はそこじゃない。進路を考える間あの潮原樹と一緒に居なきゃいけないのだ。あんなことがあった相手と2人きりなんて絶望的な状況だし、「なんで好きなことがはっきりしているのに出していないんだろう」そんな疑問が浮かんできて、考えれば考えるほど気になってくる。もう居てもたってもいられなくなってとうとう聞いてしまった。
「樹くんも紙だしてないの?」
「出したよ。でももっと現実的なこと書けの繰り返し」
予想外の答えだった。まだ高二のやんわりとした進路希望でも止められるほどの夢っていうのが気になって、仕方なくて数分後また話しかけた。
「樹くんの夢って何?」
「起業だよ、アパレルブランドの。世の中、学生起業だって多いのにいつまでも頭が硬ぇんだよ、教師は。」
その答えを聞いて思った「あぁ、やっぱりしっかりしているなぁ。自分の夢をちゃんと持ってて、好きなことを仕事にしようとしてて私とは違うんだ」と。
「やっぱり私とは違うね、ほんとに凄いよ」
そんなことを言うと樹くんは
「お前のそういうとこがほんとにイラつくんだよ、なんで自分の好きなことをそんなに隠そうとするんだよ。お前がスラックス履きたいことも、戦隊ヒーローモノ好きなこともお前の好きはバレバレで、何もかも分かってんだよ。それなのに世間一般から外れないように好きな事隠して勝手に自分嫌いになってほんとにムカつく。」
そんな言い草に私もイラついてしまった。
「樹くんにはわかんないよ、私の気持ちなんか!」
「あぁ、わかんねぇよ。自分の好き隠して勝手に傷ついて周り気にして、いつまでも大人みたいに世間一般のレールから外れないような生き方して、そんなんで何が楽しいんだよ。そんな生き方して人生の最期悔いなく迎えられんのかよ。ウジウジ言う前に自分が変われよ」
そう言って出ていってしまった樹くん。何がいけなかったのだろう。世間一般のレールの上を歩んで何がいけないんだろうか。樹くんみたいに自分の好きをみんなに伝えられてそれを形にしようなんて本当にすごいと思う。でも私にはできないんだ。臆病者の私にはそんなことできるわけが無いんだ。あぁなんでこんな考え方になってしまうんだろう。こんな自分が「だいっきらい」
