「ごめん。私、こういうのが友達だと思っていて。
ただの話し相手だよね?」
「ううん、そうじゃなくて、
自分から友達って言ってくれる人、初めてだから。
びっくりしただけ。
前住んでいた所は言葉が通じなくて
友達なんか一人もできなかったから。」
私は、どういう意味かわからなかったけど
彼に昔の事を思い出させたくなかったから言わなかった。
だって、今、彼は悲しそうだから・・・。
「でも、陣樹はこんなに優しいのに?」
「優しくたって、言葉の壁は壊せないよ。」
彼の顔は、もっと悲しくなってきた。
この話をやめにしようと思ったが、そうもいられなかった。
「そんなことないよ、言葉が伝わらなくたって・・・。」
「無理だよ。何回も試したけどダメだった。」彼は座り込んだ。
「そんなことないよ。決して、言葉が通じなくても伝えようとする心と
思いやりがあればきっと相手は気づいてくれる。
だけど、あなたはただ闇雲に言葉を伝えようとしているだけなの。
思いやりがあれば言葉の壁なんか打ち壊せるよ。
<思いやりは人を代える>から。」
この言葉は、きっとラビンたちが言いたかった言葉だろう。
どうせ、通じないと思うと本当に通じないのだ。
彼は昔、つまりいじめから逃げていた私に似ていた。
言っても分かってくれないと思い込んでいた私に。
分かりきっているという私に・・・。
ラビンたちが今、心で教えてくれた言葉だ。



