「俺は吹部に戻りません!!!!」
どこまで意地張ってんだか。
あたしはスタスタと歩み寄った。
「ねぇ、吹部に戻ったら?
そうすればプラマイゼロだよ。」
山本君は驚いたような顔をする。
最初から無理だったんだ。
バンドなんて・・・。
「俺は吹部にも戻らないし、バンドも辞めない。」
山本君はきっぱり言った。
「はぁ?だから、意地張んなって。」
「張ってねぇよ!!!!!張ってんのはお前だろっ!?」
「はぁー!?あたしのどこが意地張ってんのよ!!!!??」
「いっつも張ってんだろうがぁ!!!」
「分かった分かった。」
吹部の顧問があたしたちをなだめる。
「じゃあ、山本君はこのままバンド部を続けるのね。」
「はい、ご迷惑かけてスイマセンでした。」
ホント、迷惑だよ。
でも
「おらっ、練習すんぞ!!!!
お騒がせ女♪」
「それはアンタでしょ。」
あたしの中では
少しずつ
“バンド”と言うものが大きくなっていた。
それに気づくのはもぅちょっと先なのかな・・・



