そして、あの子に渡すため、声をかけると、 あの子は驚いた顔で僕を見た。 なんだろうね。 ちょっと寂しい。 「お誕生日おめでとう」 僕がそういうとあの子の顔は少し和らぎ "ありがとう"と丁寧に会釈した。 「これ、誕生日プレゼント。 中身、ブッククリップだから。」 その言葉にあの子は申し訳なさそうな顔をした。 でも、すぐに笑って「大切に使うね」と去って行った。