2人が付き合い始めたのは、去年の夏。地元の商店街で行われた夏祭りの日だった。きっかけを作ったのは、他でもない私だった。
私は、海からも桜からも恋愛相談を受けていた。好きな人から別の女の子の話を聞くのも、好きな人の情報を別の女の子に話すのも、こんなに苦しいなんて知らなかった。
けれど、私の居場所なんてどこにもなかった。だからせめて、2人が幸せになれるように、仲を繋ぐのが自分の役目だと、信じていた。そうすれば、2人の間に入れたから。
「桜、最近できた新しいスイーツのお店気になってたよ。駅前にできたとこ。」
「海、髪型はポニテが好きだって。今度していったら?」
2人のデートの行き先、服装や髪型まで、全て私が提案した。そしてその度に、デートは大成功だった、と聞かされた。当たり前だ。私は海のことも桜のことも、1番近くで見てきたのだから。
2人が付き合った夏祭り。それまでは毎年3人で行っていた。でも、2人が付き合うには夏祭りが絶好のチャンスだと思ったから、私は行かなかった。
「ごめん。私夏祭りの日付忘れてて、他の子との予定入れちゃった。」
2人には別々のタイミングで話をした。
「夏祭りの花火のタイミングで告白しなよ。桜、そういうベタなの好きだよ。」
「とびきり可愛くして、告白でもしちゃえ。お土産話待ってるから。」
それぞれに夏祭りで必ず告白するように促した。せっかくだし浴衣にしたら、と昨年まで普段着で夏祭りに行っていた2人に浴衣も着せた。
わざとありもしない友人との約束をでっち上げたのは、私のことを気にさせないため。告白のために行かない、と言ったら申し訳なさを感じるだろう。私は別で楽しむことを伝えれば、2人は本気で夏祭りを楽しんでくれる。
私の作戦は大成功だった。2人は無事に付き合って、手を繋いで帰ってきた。
1人、部屋の中からその様子を見た私は涙が止まらなかった。私が考えた作戦なのに、私が付き合うよう仕向けたのに、やっぱり辛かった。
そこからの2人は私の手助けなんて要らないくらい、2人で話して、デートして、喧嘩して、仲直りして、お似合いの恋人になっていった。本当に私の居場所は無くなってしまった。
私は2人から離れるために県外の大学を目指すことにした。離れたら、きっと、海への気持ちも忘れられる。
私は、海からも桜からも恋愛相談を受けていた。好きな人から別の女の子の話を聞くのも、好きな人の情報を別の女の子に話すのも、こんなに苦しいなんて知らなかった。
けれど、私の居場所なんてどこにもなかった。だからせめて、2人が幸せになれるように、仲を繋ぐのが自分の役目だと、信じていた。そうすれば、2人の間に入れたから。
「桜、最近できた新しいスイーツのお店気になってたよ。駅前にできたとこ。」
「海、髪型はポニテが好きだって。今度していったら?」
2人のデートの行き先、服装や髪型まで、全て私が提案した。そしてその度に、デートは大成功だった、と聞かされた。当たり前だ。私は海のことも桜のことも、1番近くで見てきたのだから。
2人が付き合った夏祭り。それまでは毎年3人で行っていた。でも、2人が付き合うには夏祭りが絶好のチャンスだと思ったから、私は行かなかった。
「ごめん。私夏祭りの日付忘れてて、他の子との予定入れちゃった。」
2人には別々のタイミングで話をした。
「夏祭りの花火のタイミングで告白しなよ。桜、そういうベタなの好きだよ。」
「とびきり可愛くして、告白でもしちゃえ。お土産話待ってるから。」
それぞれに夏祭りで必ず告白するように促した。せっかくだし浴衣にしたら、と昨年まで普段着で夏祭りに行っていた2人に浴衣も着せた。
わざとありもしない友人との約束をでっち上げたのは、私のことを気にさせないため。告白のために行かない、と言ったら申し訳なさを感じるだろう。私は別で楽しむことを伝えれば、2人は本気で夏祭りを楽しんでくれる。
私の作戦は大成功だった。2人は無事に付き合って、手を繋いで帰ってきた。
1人、部屋の中からその様子を見た私は涙が止まらなかった。私が考えた作戦なのに、私が付き合うよう仕向けたのに、やっぱり辛かった。
そこからの2人は私の手助けなんて要らないくらい、2人で話して、デートして、喧嘩して、仲直りして、お似合いの恋人になっていった。本当に私の居場所は無くなってしまった。
私は2人から離れるために県外の大学を目指すことにした。離れたら、きっと、海への気持ちも忘れられる。
