近くにある、人気のない休憩スペースへ移動すると、有澤先生は椅子に座るよう促した。 「もう、聞いたの?病棟改革の話」 「はい……噂程度ですが」 「はは、看護師さんは、そういう申し送り早いんだね。」 蕾が答えると、有澤先生は深くため息をつき、笑った。 「正式に決まったんだ。僕もついさっき人事から伝えられたところでさ。」 「それで、新しい病棟の担当の先生は誰なんですか?」 思い切って尋ねると、有澤先生の表情は少し曇り、気まずそうな顔をした。 しばし沈黙の後、彼はゆっくりと口を開く。