さくらびと。【長編ver.完結】






「有澤先生……」




「ん?」





「あの人のこと……」





「え?」





「宮田さん…?綺麗だった……先生みたいな人には……ああいう女性の方が似合うんでしょうね」





言ってしまってから口を覆う。




何を言っているんだろう。こんなこと言うつもりなんかなかったのに。






有澤先生は呆れたように息を吐いた。






「…らしくないね、桜井さんてそういう事いうんだ?」






「ごめんなさい……飲みすぎちゃって」







「いいよ。素直な方がいいんじゃない?」






そう言って有澤先生は優しく微笑んだ。







電車はまだ来ない。ホームには二人だけ。









「宮田さんねぇ……まぁー、確かに綺麗だけどねー」









「……やっぱりそうなんだ」







「違うよ。だからここにいる。」






「嘘……」







「嘘じゃない」