「だから……思いきってさ、精神科医なんてどうかな?」
唐突な提案に裕紀の呼吸が止まった。
今まで一度も考えたことのなかった専門領域。
「目に見えない、心の病と向き合う先生って……色んな世界が広がっていて、かっこいいと思うなぁ。」
美桜の瞳が真っ直ぐに彼を捉える。
「外科医は医材で傷を縫うけど……精神科医は心を心で縫うのよ。」
その比喩があまりにも美しくて、裕紀は言葉を失った。
確かに医学部に入る前から人の痛みに敏感だった自分がいる。
しかし今まで、親の期待や社会的地位に惹かれて外科を目指していたのは事実だった。
「……驚いた?」
「……うん、意外だった。」
素直に認める裕紀に美桜は柔らかく微笑んだ。
「でも……」
「しっくりきたでしょ?」
「はは、さぁ…どうかな。」
読まれた心に裕紀は苦笑いを浮かべ、窓から見える桜をぼんやりと眺めた。
「実はね……ここ二週間ずっと考えてたの。」
「私の看病してくれてる時のあなたって……本当に先生みたいだったから。」
窓の外で風が強くなり、桜吹雪が舞い上がった。
薄紅色の雲が空を埋め尽くす。
「誰かの心を支える仕事って……」
「裕紀に、ぴったりだなんじゃないかな。」
その言葉と共に美桜の目から涙が零れた。しかし笑顔は崩れない。
「美桜……」
「お願い。」
裕紀の手を握る力が少しだけ強くなる。
「私の最後のわがまま……聞いてくれる?」
桜の香りが病室に満ちていく中、裕紀は決意を固めた。
唐突な提案に裕紀の呼吸が止まった。
今まで一度も考えたことのなかった専門領域。
「目に見えない、心の病と向き合う先生って……色んな世界が広がっていて、かっこいいと思うなぁ。」
美桜の瞳が真っ直ぐに彼を捉える。
「外科医は医材で傷を縫うけど……精神科医は心を心で縫うのよ。」
その比喩があまりにも美しくて、裕紀は言葉を失った。
確かに医学部に入る前から人の痛みに敏感だった自分がいる。
しかし今まで、親の期待や社会的地位に惹かれて外科を目指していたのは事実だった。
「……驚いた?」
「……うん、意外だった。」
素直に認める裕紀に美桜は柔らかく微笑んだ。
「でも……」
「しっくりきたでしょ?」
「はは、さぁ…どうかな。」
読まれた心に裕紀は苦笑いを浮かべ、窓から見える桜をぼんやりと眺めた。
「実はね……ここ二週間ずっと考えてたの。」
「私の看病してくれてる時のあなたって……本当に先生みたいだったから。」
窓の外で風が強くなり、桜吹雪が舞い上がった。
薄紅色の雲が空を埋め尽くす。
「誰かの心を支える仕事って……」
「裕紀に、ぴったりだなんじゃないかな。」
その言葉と共に美桜の目から涙が零れた。しかし笑顔は崩れない。
「美桜……」
「お願い。」
裕紀の手を握る力が少しだけ強くなる。
「私の最後のわがまま……聞いてくれる?」
桜の香りが病室に満ちていく中、裕紀は決意を固めた。



