さくらびと。【長編ver.完結】



結婚式は春の盛りに執り行われた。

桜満開の庭園での神前式。


和装に身を包んだ美桜は息を呑むほど美しかった。





「美桜、綺麗だよ。」





そうささやくと彼女は頬を赤らめながら微笑んだ。

披露宴では友人たちから温かい祝福の言葉が飛び交った。





「まさかあの裕紀が結婚するなんてなー。」

「美桜ちゃんこそ想像つかなかったよ!」





そんな声に笑いながらも、二人の心は一つだった。


この日のために準備してきた両親への感謝の手紙。


美桜は途中で何度も言葉を詰まらせながら読み上げた。





特に「お父さん、あなたがいたから今の私がいます」という言葉は会場全体を感動させた。