ある日曜日。

久々に二人で過ごせる貴重な半日。



美桜は朝早くから準備万端で待っていた。


「今日は特別な一日にするね!」と宣言されたときは何が始まるのかと思えば……


まずは古都散策。


次に手作り料理教室で失敗し(なぜか納豆入りプリンを完成)、最後は夜の川沿いで花火大会を観る予定だったのが雨で中止に。


完璧じゃないデートだったけれど、隣で笑う彼女の姿こそが僕にとっては最高のご褒美だった。



「ねえ、裕紀。」



彼女が突然真面目なトーンで呼びかけたのは帰り道だった。


「私ね、こうやって誰かと過ごすことがこんなに楽しいなんて知らなかった。」



その言葉に胸が締め付けられた。



「僕もだよ。美桜と一緒にいるだけで、どんな難しい問題も解ける気がする。」



そう答えながらも裕紀は、、本当は分かっていた。


彼女への気持ちがどんどん大きくなっていること。


そしてこの気持ちをそろそろ伝えなければいけないこと。



次の春が来る前に。桜が満開になる前に。新しい始まりを迎えるために。