「あの…、もうそろそろ腕を、その…離してもらえませんか?」


「やだ。」


やだって……


「鈴奈ちゃんは、迷惑?こないて俺に抱きしめられんの。」


健二さんはまた耳元で囁く。


ゾクっ…


耳がくすぐったい。


「迷惑とかじゃなくて、その…。」


あたしは言いよどむ。

だって、抱きしめてくれるのは彼方クンがいい。

……こんなこと言えないもん。