――遥斗 side――
再会の約束から一ヶ月。春が来た。
「やっと、出張終わるの。来月、戻れるよ」
「わかった。待ってる。――会いたい」
桜からの電話に、遥斗の心は満たされた。
再会の約束をした当日。
カフェの店長として多忙な日々を送っていた遥斗。その日、一本の電話が店の固定電話に入った。
電話に出た悠真が、すぐに顔色を変えて遥斗に受話器を差し出す。
「遥斗…お前宛だ。美佳さんのお母さんからだ。ひどく動転してる」
遥斗が電話を代わると、美佳さんのお母さんは涙声で言った。
「遠野さん…ごめんなさい、突然。美佳のお父さんが、急に倒れてしまって、病院なの。美佳とは連絡が取れなくて…。遠野さんがずっと、ここで働いていたのを覚えていて、つい電話してしまったの。お願い…美佳が来るまで、いてくれないかな…」
遥斗は一瞬、息を止めた。
これは、過去に引き戻す、最後の誘惑だ。
「美佳さんのお母様。お気持ちはお察しします。しかし、美佳さんには今、新しいパートナーがいらっしゃいます。彼女にご連絡が行くのが最善です。私は、ご家族の一員ではありません。お力になれず、本当に申し訳ありません」
遥斗は、静かに、そして明確に、美佳との過去を完全に断ち切ったことを伝えた。悠真はカウンター越しに、驚きの目で見つめていたが、すぐに納得したように頷いた。
「悠真、悪いが今日は店を頼む。今日は桜が帰ってくる日なんだ…」
遥斗はコートを掴み、桜が乗る新幹線が到着する駅へ走った。
遥斗が駅に到着し、桜に「着いたよ、どの出口だ?」とメッセージを送った、まさにその時だった。
スマホが鳴る。相手は、桜の転勤先の地方支社の同僚だった。
「遠野さんですか?花村さんが、東京へ向かう途中で、駅の階段で転倒して意識を失ったと…緊急で、地元の病院に搬送されました」
遥斗の頭が真っ白になる。
「病院はどこですか!? すぐ、向かいます!」
遥斗は、不安な気持ちは捨て彼女がいる地方の病院へと、急いで向かった。
再会の約束から一ヶ月。春が来た。
「やっと、出張終わるの。来月、戻れるよ」
「わかった。待ってる。――会いたい」
桜からの電話に、遥斗の心は満たされた。
再会の約束をした当日。
カフェの店長として多忙な日々を送っていた遥斗。その日、一本の電話が店の固定電話に入った。
電話に出た悠真が、すぐに顔色を変えて遥斗に受話器を差し出す。
「遥斗…お前宛だ。美佳さんのお母さんからだ。ひどく動転してる」
遥斗が電話を代わると、美佳さんのお母さんは涙声で言った。
「遠野さん…ごめんなさい、突然。美佳のお父さんが、急に倒れてしまって、病院なの。美佳とは連絡が取れなくて…。遠野さんがずっと、ここで働いていたのを覚えていて、つい電話してしまったの。お願い…美佳が来るまで、いてくれないかな…」
遥斗は一瞬、息を止めた。
これは、過去に引き戻す、最後の誘惑だ。
「美佳さんのお母様。お気持ちはお察しします。しかし、美佳さんには今、新しいパートナーがいらっしゃいます。彼女にご連絡が行くのが最善です。私は、ご家族の一員ではありません。お力になれず、本当に申し訳ありません」
遥斗は、静かに、そして明確に、美佳との過去を完全に断ち切ったことを伝えた。悠真はカウンター越しに、驚きの目で見つめていたが、すぐに納得したように頷いた。
「悠真、悪いが今日は店を頼む。今日は桜が帰ってくる日なんだ…」
遥斗はコートを掴み、桜が乗る新幹線が到着する駅へ走った。
遥斗が駅に到着し、桜に「着いたよ、どの出口だ?」とメッセージを送った、まさにその時だった。
スマホが鳴る。相手は、桜の転勤先の地方支社の同僚だった。
「遠野さんですか?花村さんが、東京へ向かう途中で、駅の階段で転倒して意識を失ったと…緊急で、地元の病院に搬送されました」
遥斗の頭が真っ白になる。
「病院はどこですか!? すぐ、向かいます!」
遥斗は、不安な気持ちは捨て彼女がいる地方の病院へと、急いで向かった。
