​――桜 side――
彼の告白に、涙が溢れそうになった。
しかし、私の東京滞在はあと数日。転勤先でのプロジェクトは、まだ終わっていなかった。
​「私、来月また戻らなきゃいけない。あと数ヶ月はかかると思う」
「わかってる」
​遥斗は、もう顔を背けなかった。まっすぐに私の瞳を見つめた。
​「頑張ってこいよ。俺は、もう逃げない。この3ヶ月、君が頑張ってる姿を想像して、俺も自分の弱さと向き合った。
今度はちゃんと**“待つ”**って決めてる。君の成長を、誇りに思ってる」
「大丈夫。どこにいても、ちゃんと想ってるから。桜、行ってらっしゃい」
​――遥斗 side――
駅までの道、桜がホームに立つ。
窓の向こうに見える桜が、小さく手を振る。
​──「どこにいても、想ってる」
​俺が過去を清算したことで、ようやく持てた**「未来」**。
それが、今の彼女の、いちばんの支えだと信じた。今度は、俺が、彼女の光を曇らせないように、待つ番だ。