「部活はどうですか?」
「頑張ってるよ。もうすぐ県予選だし」

「今月末でしたか?」
「うん。あ、そうだ。応援に来てね」

「部活の引率があるんで、無理ですね」
「えー」
ぶうと頬を膨らます小林の顔を見て、つい笑ってしまった。

「ははっ。小学生ですか?」
「女子高生だからっ」

「はははは」
ふてくされた小林さんが大人っぽい外見とは逆に子供っぽくて笑ってしまった。
 
「ね、先生って何部の顧問なの?」
「ジャグリング部です」

「え?ジャグリング?」
「はい。ジャグリングです。分かりますか?」

「うん。文化祭とかでもやってるから知ってるけど。 
引率って何するの?」
「イベント参加ですね」

「へぇ~」
「まあ、観には行けませんが、応援はしてますよ」

「うん、ありがとう!頑張るね! 
先生もがんばってね」
俺が頑張る必要はまるでなかったので、とりあえずニッコリ笑っておくことにした。

「それで、先生も何かするの?」
「僕はなにもしませんよ」

「イベントにはでなくても、お手玉とか何かできるの?」
「僕は不器用なんでできませんね」

「へえ~、先生不器用なんだ?」
「嬉しそうに笑うの、やめてもらえますか?」


それからしばらく話をして、小林さんの友人が迎えに来たので別れた。

元気よく手を振る小林さんの笑顔に目を細めた。