「どうして言ってくれなかったの?」
小林はキッチンにいる俺に声を掛けた。
「学校辞めますって?」
「うん」
俺は積んだ段ボールを見ながら【キッチン・食器】と書かれた段ボールを開いた。
小さな鍋とマグカップを二つ、スティックタイプのインスタントコーヒーと砂糖を出す。
あ、スプーンもいるな。・・・割りばしでいいか。
「言う必要ある?」
「あるよ」
「ないよ。俺たちはただの教師と生徒でしょ?」
「そうだけど…。先生勉強教えるのうまいしさ、また教えて欲しいなって」
「今度からは他の先生に聞くといいよ」
鍋を電気コンロに掛けて、【沸騰】を押した。
カップに粉を入れる。
「でも、もう会えないわけじゃないよね?」
「辞めるんだから無理だよ。
引っ越すし」
「勉強を教えてって言ってるんじゃないよ。
学校を辞めたって先生に逢いたい!」
「会えるわけないだろう?」
「会いに行くから」
「ダメだ!」
小林は無言になった。
しまった。強く言い過ぎただろうか?
俯く小林の所へ行って跪く。
「ごめん。強く言い過ぎた」
俯く小林の表情を見るために、少しだけ顔を覗いた。
小林は大きな瞳に涙を浮かべていた。
瞬きを一つして、揺れる涙は零れた。
そして、小林が俺を見上げた。
小林は真っ直ぐに俺を見つめていて、俺の心臓はドキリと跳ねた。
小林はキッチンにいる俺に声を掛けた。
「学校辞めますって?」
「うん」
俺は積んだ段ボールを見ながら【キッチン・食器】と書かれた段ボールを開いた。
小さな鍋とマグカップを二つ、スティックタイプのインスタントコーヒーと砂糖を出す。
あ、スプーンもいるな。・・・割りばしでいいか。
「言う必要ある?」
「あるよ」
「ないよ。俺たちはただの教師と生徒でしょ?」
「そうだけど…。先生勉強教えるのうまいしさ、また教えて欲しいなって」
「今度からは他の先生に聞くといいよ」
鍋を電気コンロに掛けて、【沸騰】を押した。
カップに粉を入れる。
「でも、もう会えないわけじゃないよね?」
「辞めるんだから無理だよ。
引っ越すし」
「勉強を教えてって言ってるんじゃないよ。
学校を辞めたって先生に逢いたい!」
「会えるわけないだろう?」
「会いに行くから」
「ダメだ!」
小林は無言になった。
しまった。強く言い過ぎただろうか?
俯く小林の所へ行って跪く。
「ごめん。強く言い過ぎた」
俯く小林の表情を見るために、少しだけ顔を覗いた。
小林は大きな瞳に涙を浮かべていた。
瞬きを一つして、揺れる涙は零れた。
そして、小林が俺を見上げた。
小林は真っ直ぐに俺を見つめていて、俺の心臓はドキリと跳ねた。



