それから何事もなかったかのように弟が買って来たお菓子を食べて、笑って話をして、二人は帰って行った。
その間、お見舞いに来てくれたらしき女の子たちは戻っては来なかった。


誰もいなくなったベッドの上で私はジャージの胸元をぎゅっとつかんだ。

何もないけれど、私が先生のことが好きなのは事実だ。

そして、以前にも先生と噂が立ったことがある。

「やっぱりあの二人付き合ってたんだ」なんて言われるのではないだろうか?

そしたら、先生、学校クビになっちゃうのかな?

私が好きになっちゃったせいで、クビ?

先生の人生、壊れちゃうよ!


恐くなって手が震える。
涙がボロボロと溢れてくる。


どうしよう・・・どうしよう・・・・もし、噂になったら・・・広まったら・・・・どうしよう・・・どうしよう・・・先生・・・・先生・・・・先生・・・・先生・・・・先生・・・・恐いよぉ・・・。


カーテンの向こう側にいる隣のおばさんに気付かれないようにグッと握った拳を噛んだ。