小林はベッドの上に簡易テーブルを出していた。テーブルには数学の問題集とノートが広げられていた。

「お、数学してんのか」
「まあ、来年は三年生だもん。
それに暇ですることもないからね」

「偉い、偉い」
ポンポンと頭を撫でて丸椅子に腰掛けた。

小林が俯くから、その表情は見えなかったけれど、赤くなった耳を見て可愛いなと思った。

照れていることに気が付かない振りをしてテーブルの上に目を向けた。

「質問あるか?」
「あ、うん!えっとねー、あ、これ」
広げられた問題集とノートをあたふたとめくりながら、問題集を指さした。

上を向いた顔はまだ微かに頬を染めていた。

「どれ?」
「これ」
再び気付かない振りをしながら、高鳴る自分の心臓の音に動揺していた。

問題の解き方を説明しながら、小林の様子を窺った。
小林はノートを指し示すペンの先を真剣に見つめていた。

「あ!そっか、分かった!」
「ん。じゃ、解いてみて」
「はい」
カリカリ。