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この日から、朝の渋滞が嫌で電車通勤をしていたのを車通勤に変更し、弁当を買うスーパーを違う店にした。
すると、学校以外で小林に出会うことは全くなくなった。

煙草をやめれば、喫煙所に行くために通る体育館の前を横切ることもない。

学校で彼女に会うのは授業だけになった。

小林と親しく話すようになったあの半年間が夢だったのかと思う程、会話は何もなくなった。


バレー部が試合に勝ったとか、小林のスパイクがキレキレだったとか、そういう話を小耳にはさんでは、膝が治ってよかったとほっとした。


そして時折、遠目に小林を見つけ、元気そうに笑う彼女の様子に目を細める。
やはり彼女の存在は眩しいと思った。