翌日の土曜日。

俺は車を出して、小林さんを整形外科に連れて行った。


『痛みがある間は運動禁止。
治まれば練習に参加してもいい。
無理はしてはいけません』
と言われた。

想像していたより膝の状態が悪くなかったことにホッとする。


小林さんは病院で借りた松葉杖を使って器用に歩く。
背負ったリュックが重そうで、代わりに持ってやると「軽くなった!」と喜んだ。


後部座席に鞄と松葉杖を乗せ、助手席に小林さんを乗せた。

運転する俺の横で小林さんは手を膝にのせておとなしく座っている。

「先生、女の子の扱い慣れてるよね」
「は?別に慣れてないよ。
なぜそんなこと思ったんだ?」

「だって・・・。
鞄持ってくれたり。
さらっと助手席のドア開けてくれたり」
「それくらい、普通でしょ」

「なんか…大人みたい」
「大人だよ!
全く、悪口かよ」

「あははは」
「『あははは』じゃないからな」
と睨むと、小林さんは更に嬉しそうに笑った。