「先生、先生起きて!」

肩を揺すってくる声に目を覚ました。

「やっと起きたー!」
「ごめん、寝てた。ええっと、、、小林さん?起こしてくれてありがとう」

どうやら補習に来る生徒たちを待っている間に眠ってしまっていたようだ。

「はい、先生これあげます」
「?」
小林さんはスポーツドリンクを差し出した。

「少し飲んでるけど、買ったばかりだから冷たいですよ」
「え?」
「しっかり飲んでください!」

小林さんは俺が置いていたノートをぱたぱたとあおぎ、俺の顔に風をあてた。

「もう!!この暑い中、クーラーも付けずに寝るなんて、本当にありえない!!
放課後に教室くる人なんていないし、熱中症になりますよ!」


「えっと、、、いいの?」
「何がですか?」

「いやあ、飲みかけのスポーツドリンクって・・・なんと言うか・・・いいのかなって。ははは」
「!?」

小林さんは一瞬で顔を赤くした。
飲みかけって言ったから、意識させてしまったのか?

「な、何言ってんですか?!
ね、熱中症だったら大変でしょっ?!
早く飲んで!」

動揺しながらも、ペットボトルを押し付けた。

「ありがとう」

確かに俺は汗だくだった。
ペットボトルを受け取って、スポーツドリンクを飲んだ。

「うまいな、これ」
ごくごくと音を立てて飲んで呟いた。
 
「それだけ脱水状態だったってことだよ、多分」
「そうなのか?」

「知らないけど、スポドリって、喉乾いてないときは美味しくないから。
美味しいってことは、体が欲してるんじゃない?」
「適当だけど、説得力あるな」

小林さんは話しながらもパタパタとノートであおいでくれていた。
クーラーが入れられた教室が少し涼しくなってきた。