離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました


未依は、そっと視線を逸らした。

注目を浴びているのは、須藤兄弟。この病院の有名人たちだ。

弟の櫂は、二年前にこの病院に赴任してきた救急医だ。今年三十歳になる彼は迅速で適切な判断力が抜群で、救急医の中でも優秀な者しか選ばれることのないフライトドクターを務めている。

端正な顔立ちで王子様のようなルックスを持つ彼は、赴任直後から女性たちの人気を一身に集めていた。

兄の律は脳外科医で、先日アメリカから帰国したばかり。年は櫂の三つ上の三十三歳。今から五年近く前に海外へ派遣され、〝神の手を持つ男〟と呼ばれるアメリカ人医師に師事していた。相当数の手術をこなし、技術は神の手折り紙付きだという。

彼もまた整った顔立ちをしていて、櫂よりも凛々しく野性味がある。シュッとした輪郭に切れ長の目が特徴的で、一見すると冷たそうな印象だ。

ふたりとも医師として優秀な上に、容姿も抜群に優れている。さらに父親はこの病院の院長という超ハイスペ兄弟だ。女性から人気がないはずがない。

(さっさと食べ終えて、休憩室に移動しよう)

そう考えて、黙々と食事を続けていると。