「告白されるまま付き合ったけど、全員数週間で終わった」
「……へっ?」
まさかの返答に、思わず変な声が出た。
「興味のない相手といるのが、あれほど苦痛だとは思わなかった。向こうも、医学部で成績が優秀なら俺じゃなくてもよかったんだろう。だいたいみんな十日と保たずに別れを切り出してきたし、あげく『引き止めてくれないなんて最低』と意味のわからないことを言うのまでいたな」
「それは、えっと、なんと言ったらいいのか……」
きっと、その女性は律に興味を持ってもらいたかったのだろうし、別れたくないと言ってほしかったのだろう。
それを律が察しているのかいないのか、過去の女性に対する未練はまったくといっていいほど見られなかった。
「もう未依以外の女性には興味が持てないとわかって、それなら未依が大人になるのを待とうと思った。未依が大学を卒業する頃になれば、年の差は気にならないし、周りからなにか言われることもない」
そう決意した矢先、未依の両親の事故が起き、憔悴する未依をひとりにしたくなくて『家族になろう』と提案した。
恋心を伝えなかったのは、すでに未依の気持ちが律になかった場合、未依の逃げ場がなくなってしまうからだという。



