離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました


懺悔するような律の表情を見て、余程ショックだったのだろうと思い知る。

あの時はわからなかったけれど、今なら律の動揺の理由がわかる。今の六歳差と、当時の六歳差では、意味がまったく異なるのだ。ともすれば、世間からひどい誹りを受けることにもなり得るし、感情のままに互いに触れ合えば法に触れる恐れすらある。

「自分の醜い感情を悟られまいと、咄嗟に必要以上にひどい言い方をした。傷つけて悪かった」

未依は無言で首を横に振った。

「それから、未依以外の女性に目を向けようと必死だった。彼女がいるなんて嘘だったけど、実際に数人と付き合ってみたりもした」
「えっ、嘘だったの?」
「大学の勉強とバイトで忙しかったし、興味もなかったからな」
「……でも、その後は何人かとお付き合いしたんだ」

未依がその事実を責めるのはお門違いだけれど、いざ聞かされるとなんともいい気分ではない。

律は学生時代からとにかくモテていた。周囲にいた女性は皆大人っぽく、一様に未依を〝子供〟だと見下していたのを思い出す。

きっと、律と付き合ったという彼女たちも、綺麗で律の隣に立っても見劣りしない女性ばかりなのだろう。