離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました


子供扱いされているわけではなく、これは律なりの優しさだろう。学生の頃ほどではないけれど、実は今もメッセージアプリのスタンプを購入するくらいには好きなキャラクターだ。

「ありがとう。本当に私と住むように準備してくれてたんだね」
「そう言ったろ」

さすがの未依も、ここまでしてもらっていては律の気持ちを疑う余地はない。

それでも、聞かずにはいられなかった。

「あの……質問してもいい?」
「なんでも。全部正直に答える」

真っすぐに真摯な瞳で見つめられ、未依は意を決して尋ねる。

「私と結婚してくれたのは、同情じゃないの?」
「違う。たしかに、家族になる決意をしたのはあの事故がきっかけだった。でも同情なんかじゃない。好きでもない女と結婚なんてするはずがない。俺は昔からずっと、未依だけが好きだ」
「ずっとって⋯⋯いつから? だって、告白した時は『そんな気になれない』って⋯⋯」

未依は一番の疑問を口にした。