離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました


二年以上もの間それを目標にしてきたため、律と夫婦として過ごす未来が思い描けない。

未依自身は離婚したいのか。律に対する恋心はすでに失ってしまっているのか。

まずはそれらの疑問に向き合うべきだが、唐突に律との同居というハプニングに見舞われ、それどころではなくなってしまった。

(これから律くんとふたりで暮らすの……?)

須藤の実家で一緒に暮らしていた期間はあるものの、当然律の両親も住んでいたし、ふたりきりなのは初めてだ。

ひとつ屋根の下、どう振る舞うのが正解なのか、恋愛偏差値が底をついている未依には正解がわからない。

意識しているとバレバレなのもいたたまれないけれど、何事もなかったかのように接するのも違う気がする。

考え込んでも結論は出ず、未依は無心でココアを口に運んだ。

互いに飲み終わり、マグカップをガラステーブルに置いたところで、律が切り出す。

「未依の部屋は今日からでも住めるように整えてある」
「そう、なの?」
「あぁ。でも……」