(それって……)
今の言い方では、この部屋のインテリアを未依の好みに合わせて決めたように聞こえる。
いや、きっとそうなのだろう。未依と住むつもりで購入したと言っていたのだから。
思いがけず律の自分に対する気持ちを実感して、ぶわっと顔が熱くなる。
未依がひとり密かに離婚を決意している裏で、彼はここで夫婦として暮らすつもりでいたのだ。
申し訳なさを感じると同時に、無視できない程度には嬉しいと感じている。それから、どうしてそこまでしてくれるのだろうという疑問もある。好きだと言ってくれたけれど、これまでにそんな素振りはなかったはずだ。
律に尋ねてみたいけれど、どんな答えが返ってきたところで、まだうまく受け止められない気がした。
『未依が離婚を決意したのは旦那さんのためであって、未依がどうしてもしたかったわけじゃないでしょ?』
千咲の言葉が脳裏に浮かぶ。
彼女の言う通り、未依が離婚を決意した大きな理由は、律を早く解放してあげなくてはという使命感だった。



