離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました


困っていれば、こうして躊躇いなく手を差し伸べてくれる。過去の会話から好みを覚えていてくれる。ぶっきらぼうだけど面倒見のいい彼の本質を知らずして、律の魅力を語るなと声を大にして言いたい。

かといって、律の魅力に気付いた病院内の女性陣が猛アタックを繰り広げる様子を見たいかと言われれば、そうではないのだけれど。

自分でも矛盾している思考を脳内で展開していると、未依の視線に気付いた律が、目だけで「なに?」と尋ねてくる。

無意識にじっと見つめていたのが恥ずかしくて、未依は無理やり話題を変えた。

「ううん。なんか、律くんのイメージと違う部屋だね」

実家の律の部屋は、ほとんどが黒か白で統一されていた。どちらかといえば、この部屋のインテリアは未依の実家の雰囲気に近い気がする。

「好みじゃなかったか?」
「ううん、意外だっただけ。私はこういう柔らかいテイストのインテリアが好きだから、オシャレでいいなって思ったの」
「それならよかった。試行錯誤した甲斐があったな」

律が小さく息を吐き、目を細めた。