離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました


「お待たせ」

戻ってきた律が手渡してくれたのは、未依の好きなホットココア。好みを覚えていてくれたのにも驚いたが、まさか律の自宅にあるとは思わなかった。

「ありがとう」

自分の分はコーヒーを淹れたらしい。律は未依の隣に座ると、ゆっくりとカップに口をつける。そんな何気ない仕草も、律にかかると映画のワンシーンのようだ。

「ここならセキュリティもしっかりしてるし、不審者が入り込む隙はない。通勤も病院までは徒歩五分で、大通り沿いだから人通りも多い。安心してくれていい」
「うん……ありがとう。迷惑かけてごめんね」
「迷惑だなんて思ってない」

病院の噂好きな看護師は、塩対応だの優しくなさそうだのと好き勝手に言っていたが、その評価は大いに間違っている。

(律くんは、誰よりも優しい人なのに)

律のよさは、決して外見や医師としての腕だけではない。