申し訳なさそうに帰っていく警察官を見送りながら、未依は呆然と立ち尽くすしかできない。
(ストーカー……?)
元交際相手などがトラブルの末に付き纏うようなイメージがあるけれど、未依にそういった相手はいない。
「未依、部屋に入った犯人に心当たりは?」
無言で首を横に振ると、律は「そうか」と呟くなり、腕を組んで考え込む。
心当たりはまったくないけれど実際に誰かが自宅に侵入し、キッチン周辺や郵便物を触ったのは間違いない。
恐怖や嫌悪感、気持ち悪さが全身を支配し、呼吸が浅くなる。
「未依。大丈夫だ。俺がいる」
未依の肩を、律が力強く抱き寄せる。
「律くん……」
あの日と同じだ。



