正午から約一時間ほどが過ぎた頃。
患者へ昼食の配膳を済ませ、未依は交代で休憩をとるために食堂へと向かった。
総合医療センターの職員食堂は、和洋中の定食や麺類など、バリエーションに富んだメニューを提供している。身体的にも精神的にも大変な医療従事者を支えるため、栄養バランスは完璧だ。
その上、なにを頼んでも一食三百五十円というリーズナブルさもあって、出勤日は毎日この食堂に通っている。
未依は鯖のおろしポン酢定食を頼み、窓際の席へと座った。
(んーっ! 今日も美味しい。転職をためらうのは、この食堂の恩恵に与れなくなるのもあるんだよねぇ)
未依は現在、転職を考えている。
といっても、看護師を辞める訳ではない。別の病院へ移ろうと関東近辺の病院の求職情報を見ているのだが、この病院ほど福利厚生の充実している職場はなかなか見つからないのが現状だ。
一緒に働く同僚の看護師たちとの関係も良好だし、傲慢な振る舞いをする医師もいない。



