それによく見れば、心なしか部屋の物の配置が違っているような気がする。テレビとエアコンのリモコンを揃えて置いたり、雑誌をいちいち発売月順にラックにしまう習慣はない。
さらに、すぐに確認できない郵便物を一時的に置いておくトレイにあるいくつかの手紙の封が切られていた。帰ったらまとめて見ようと思っていたため、未開封だったはずだ。
ぞわりと全身に鳥肌が立つ。
未依に同居人はいないし、合鍵を渡すような相手もいない。
では、一体誰が我が物顔で未依の家のリビングに入ったのか。洗い物したり郵便物の封を勝手に開けたりするなんて気味が悪い。
玄関の鍵が開いていたのを思い出し、自分の身体を抱きしめて身震いする。ぞっとして動けずにいると、バッグの中でスマートフォンが振動した。
「ひぇっ……!」
大げさなほどビクッと身体を跳ねさせたあと、震える手で確認すると、電話の相手は律だった。
未依は縋るように通話ボタンをタップする。



