離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました


未依は目を伏せて首を横に振ると、千咲は心配そうに眉を下げる。

「私が言えたことじゃないけど、ちゃんと向き合った方がいいと思う。旦那さんにも、自分の気持ちにも」
「私の気持ち……?」
「離婚を決意したのは旦那さんのためであって、未依がどうしてもしたかったわけじゃないでしょ? その旦那さんは未依を想っていて、離婚を望んでいない。それなら、頑なに離婚を突きつけるよりも、未依自身がこれからどうしたいのか、もう一度考えてみてもいいんじゃないかな」

未依が顔を上げると、微笑む千咲の隣で、櫂も頷いている。

「俺も、千咲の案に賛成」
「櫂くん……」
「ほらね。その結果、もう一度夫婦としてやり直しても、離婚を選んでも、私はずっと未依の味方でいるから」
「うぅ、千咲……大好き」

感極まって千咲に抱きつくと、彼女は笑いながら受け止めてくれた。

「ふふ。私も未依が大好きだよ」
「櫂くん、ずるい。女神みたいな千咲をひとり占めしてるなんて」
「当然だろ、千咲は俺のものなんだから。それより早く離れて」
「かっ、櫂さん……!」

千咲にへばりついていた未依を、櫂が容赦なく引き剥がす。