結局、一日経ってもいまだに信じられず、こうして千咲に頼ってしまったのだけど。
「未依は、旦那さんとやり直すつもりはないの?」
「律くんと、やり直す……」
そんな未来は、想像したこともなかった。
入籍してすぐに渡米した律に寂しさを覚えなかったといえば嘘になるけれど、働きだしたばかりの未依は、仕事を覚えるのに必死だった。
最初の二年は体力面でも精神面でも大変で、ずっとそばにいてくれた律がいない事実に打ちのめされながらも、それ以上に看護師として早く一人前にならなくてはとがむしゃらに働いた。
やっと仕事に慣れてきた頃、律の帰国が延期となり離婚を決意した。
それからは胸に燻る恋心を消化させ、離婚後の生活をどうするかという点ばかり考えていたため、律と夫婦として過ごすなんて想像ができない。
それに、いざ看護師として働き始めると、改めて律の医師としての力を知ることとなった。
彼が派遣された先は、アメリカでも有数の名医が在籍する病院で、脳外科で日本人が働くのは初めてだったそう。



