現実逃避に、ついそんな関係ないことを考えてしまう。

彼女からの質問に対しての答えは、『嬉しくないわけではない』という曖昧なもの。

未依の心情としては、やはり〝信じられない〟という感情が先にくる。律は自分を好きだというけど、それは妹を大切に思う感情ではないだろうか。

「だって、一度バッサリ振られてるんだよ? 恋愛対象外だってハッキリ言われたのに」
「いつの話をしてるんだよ」

突っ伏した未依の頭上から降ってきたのは、櫂の声だった。

「それ、未依がまだ中学生の頃だろ。その時、すでに兄貴は成人してたんだ。そう言うしかないだろ」
「それは……」

たしかにその通りだ。

六歳の差は大人になればそこまで気になるものではないが、二十一歳の律が十五歳だった未依に告白されたところで、受け入れられるはずもない。