未依がお祝いを渡し、怪我の回復が順調だという話を聞き終えると、紬はお昼寝の時間らしくうとうとし始めた。

リビングの一角にあるお昼寝用の布団に紬を寝かせたタイミングで話を切り出し、ダイニングテーブルに突っ伏して昨日までの経緯をぶちまける。

「ずっと好きだったって……いつから? 私と住むために新居を用意したって、どういうこと?」

いまだに律の発言が信じられない。

唐突な告白にぽかんと口を開けた未依に、律はもう一度言ったのだ。

『ずっと未依が好きだった。だから、たとえ離婚したとしても未依を手放すつもりはない』

未依を見つめる眼差しには甘さが宿り、ほとばしる熱が伝わってくるようだった。

昨日の律の言葉を思い出しては悶え、どうすべきかわからずに唸り続ける未依に、千咲が優しく声をかける。

「旦那さんに好かれてたってわかって、未依は嬉しくないの? 子供の頃からずっと好きだったんでしょ?」

学生の頃から落ち着いた雰囲気で優しかった千咲だが、母親になったおかげかそれがさらに顕著になった。さらに櫂に愛され女性としても自信を手にしたため、まるで聖母のように美しい。

(私も千咲くらい美人で落ち着いてたら、患者さんから学生みたいって言われたり、『みーちゃん』呼びされたりしないのにな)