これはまぎれもない未依の本音だ。
正直に言えば、今すぐに婚活する気があるかといえばそうではない。それよりも、転職先を見つけるほうが先決だ。
まだ誰にも伝えていないけれど、律との離婚が成立したらすぐにでも退職願を提出するつもりでいる。
それに、長く初恋を引きずっていたせいで新しい恋の始め方すらわからないという枯れっぷりだ。
子供の頃からずっと、恋愛対象に見られていないとハッキリ言われてもなお、律しか見えなかった。
そんな未依が今さら他の誰かと恋ができるのかはわからないけれど、チャレンジしなくてはなにも始まらない。
両親のように仲のいい夫婦に憧れているため、今度こそ愛し合って結婚したい。けれど、そんな相手が見つからなかったら無理に結婚しなくてもいいと思っている。
お互いの気持ちが一致していない結婚生活がどれほど虚しいかを、未依は身をもって知っているのだから。
「……婚活?」
職業病なのか脅威の速さで食事を終えた律が、ぎゅっと眉間に皺を寄せる。そんな表情さえも様になってカッコいいのだから、つくづく美形はずるい。



