そんな彼だからこそ、日本でもアメリカでも多くの患者の命を救っているのだと、未依は律を医師としても人としても尊敬している。
(律くんならこれから先、きっと素敵な女性が見つかるはず。ううん、もしかしたらアメリカにそういう人がいるのかも)
そう考えると、未依が五年近くもの間、同情で彼を縛り付けていたことがとても罪深いと実感する。
もしも律に結婚したいくらい好きな相手がいようとも、すでに未依と結婚しているために叶わないのだ。
重りを飲み込んだように、胸がずんと苦しくなる。
けれど、どれだけ後悔しようと懺悔しようと過去は変えられない。
だからこそ、未依は早く律を解放してあげるべきなのだ。
(今日こそ、離婚届にハンコをもらおう)
互いに好きな定食を注文すると、五分も経たずに盆が運ばれてきた。
「両親に聞いた。学費を返してるんだって?」



