離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました


努力を認めてもらえた嬉しさもあるけれど、それとは別の胸の高鳴りに、必死にストップをかける。

(いやいや、性懲りもなくときめいてどうするの!)

長く忘れられなかった初恋を、ようやく諦められたところなのだ。律のちょっとした言動に振り回されてはいけないと、未依はこぶしを握りしめる。

(せっかくの機会だし、ちゃんと話して離婚に同意してもらわないと)

こうして律とゆっくり食事ができるのは、彼が帰国して初めてのこと。

未依は夜勤があるとはいえシフト制のため、休みの日はしっかりと決められている。

対する律は帰国して間もないというのに、いくつもの手術をこなし主治医を務めているため、連日忙しそうにしていた。

それだけではなく、アメリカ仕込みの彼の手技や治療方針を少しでも盗んで勉強したいという熱心な同僚を無視できず、懇願されるがままに指導にあたっているらしい。

看護師たちからは無愛想で塩対応などと揶揄されていたが、本来の彼はとても優しく思い遣りに満ちた人柄だ。向上心を持って教えを請う医師を邪険にするはずもない。