離婚するはずが、凄腕脳外科医の執着愛に囚われました


それでも詳しく聞き出そうとしない気遣いが嬉しくて、未依は泣きそうになりながら微笑んだ。

『香坂先輩、ありがとうございます。色々落ち着いたら、たくさん話聞いて下さいね』

そう伝えると、あかりも『任せなさい』と微笑みを返してくれたのだった。

(噂が大きくなる前に、早く済ませちゃいたいな)

転職を考えているとはいえ、できるだけ目立たずにスムーズに離婚がしたいのだ。今さら騒ぎ立てられたくはない。

未依は急いで着替えを済ませると、メイク直しを諦めてそそくさと更衣室を出た。


未依が働く総合医療センターの看護師は二交代制をとっており、日勤は午前八時半から午後五時まで、夜勤は夕方の四時半から翌日の午前九時までと決まっている。

基本は日勤を三日、夜勤を一日こなしたあと、休日を二日とるというサイクルだ。三交体制に比べて夜勤の勤務時間が長いけれど回数は少なく、連休も取りやすい。

休みの希望を出すとそのサイクルは崩れるが、未依の所属する7A病棟の師長はシフトを作る際の調整が上手く、連勤が重なって大変になったこともない。