基本的に未依に甘い律だが、こういう時だけはあまり未依の話を聞いてくれない。口の端をわずかに上げて微笑むと、そのまま未依をソファに押し倒す。大人の男の壮絶な色香に見惚れ、結局はなずがままだ。
「律くん、ずるい……」
「なにが?」
「いつも私ばっかりドキドキさせられてる気がする」
口を尖らせてみせると、律は未依の手を取って自分の胸に当てさせた。
「わかるか? 寝室に移動する余裕すらないんだ」
手のひらから、彼の心音が伝わってくる。ドクドクと強く刻む鼓動は未依と同じくらいか、それ以上に速い。
「どれだけ未依を欲しがってるか、伝わった?」
こちらを見つめる熱い視線に肌を焼かれそうだ。無言でこくんと頷く。
それが合図となり、律は再び未依に口付けた。僅かに開いた唇から舌が差し入れられ、淫靡な音を立てながら口内を隈なく探られる。恥ずかしいと感じるまもなく激しく貪られ、未依は必死に縋りついて自らも舌を絡めた。
「んんっ、は、ふぅ」



